-救済の書-

【もう一つの伝説】


 

 友達のクビを賢者に跳ねられ、少女は泣いた。

 皆を憎み、世界を憎み、賢者を憎み、心の『扉』を閉めた。無数の憎悪(ヘイトレッド)を抱えたまま。

 夢を見ていると思った。

 本当は友達のクビは斬り落とされていない。

 だけど、いつまで経っても夜は明けなかった。

 

 

 もしも、この『扉』を誰かが開けることができるのなら、それはきっと生まれ変わった友達だ。

 自分も死んで生まれ変わろうと思った。

 そして、生まれ変わってその友達と再会したいと願った。

 

 

 

 七瀬はリンカと見た夕日も、従事と見た夕日も忘れたことはなかった。どちらも大好きだった。

 あの時に見せた笑顔は本物だ。

 

 

 

 

 

 

 ――救済の書を読み終える。

 七瀬の枝の世界へ進む。

 白姫の枝の世界へ進む。

 マリーの枝の世界に進む。

 ヒルダの枝の世界に進む。