○作品コンセプトと主人公の境遇について

 

 

 少し述べましたが、これは『運命と計算の物語』です。

 戦いは『知力戦』『心理戦』も多分に含まれ、主人公が勝利を確信した時、「読みきった…!」と言います。

 

 主人公の境遇を少し記します。

 主人公は森の奥にあるパルプンテ神殿にて、師匠である神官長に無理やり修行をさせられています。

 都心には九つの大神殿があり栄えていますが、パルプンテなどまるで流行らず、もはや残った神官は師匠と、見習いの主人公だけとなりました。その主人公もメラ神殿に憧れているのですが、師匠はそれを許してくれません。

 世間一般には「パルプンテは運試しの使えない呪文」と言われていますが、師匠はそれを否定します。

 パルプンテとは一か八かの呪文ではなく、「未来を複数のパターンに分岐させ、その中から勝利を手繰り寄せる呪文」と言います。

 パルプンテを唱えるとランダムに無数の種類の中から効果が一つ選ばれますが(ここでは便宜上100種類とします)、真のパルプンテ士は予め、どのパターンが来てもいいように準備をしています。そして、その100のパターンの未来から、『更に次のパルプンテを唱える』ように計算しています。

 パルプンテを連続で二回唱えれば、未来の可能性は10.000通りにも 上ります。計算は更に困難なものとなります。そして三手目のパルプンテを唱えれば、その10.000から更に100通りの未来に別れ、未来の可能性は1.000.000(100万)通りとなります。これを『フューチャー・メガショック』と呼びます。

 その1.000.000の未来の中には勝利が確定した未来、あるいは極めて勝利に近い未来、また敗北に近い未来などもあります。三手目までパルプンテを計算しきっている者は、一手目、二手目のパルプンテを終えた時、次のパルプンテを唱えた場合、勝利の期待値が上がるか、下がるか。これにより戦術を決定していきます。

 師匠は七手先まで読むことができます。未来の可能性は1007乗なので100兆パターンになります。師匠は「100兆の計算ができる男」なのです。

 主人公の男の子は未熟故、未だ二手先のパルプンテまでしか制御できません。

 

 制御できない先のパルプンテは『禁忌』とされています。例えば主人公は二手先までは制御できますが、三手先のパルプンテは未知の領域です。その領域には決して踏み込んではならないと、師匠に固く誓わされています。何故なら己が敗北する未来ならともかく、パルプンテは不可解な効果を呼び寄せます。それにより、己のみにならず、仲間や守るべきはずだった対象をも不幸にしてしまうことがあるからです。

 パルプンテとは使い方を誤れば、非常に危険な呪文なのです。

 

 しかし、それでも未知の領域に足を踏み込まなければならないこともあります。

 自分の命を捨てても、誇りを捨てても、誓いを破っても、無関係なニンゲンを不幸の可能性に晒しても、大切な誰かを助ける可能性が万に一つでもあるのなら、主人公はきっと悩むでしょう。

 そういった心の葛藤を企画全容にて述べた、『生命の哲学』として描写します。

 

 

 

 

 

 不幸は決して偶発的に訪れるものではなく、計算と勇気、信頼により回避できる。故にこの作品のタイトルは『バッドラック・ロジック』なのです。

 

 

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